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執筆者の写真勝部デザイン事務所

パッケージデザインでブランディングに成功した好例 ①


ブランディングを進める上でパッケージデザインは重要なツールの一つです。消費者が実際に手に取り、品質を体感できるパッケージは強力なブランディングツールとなります。そのパッケージをうまく利用しブランディングに結びつけた好例をご紹介します。



魚焼き器のデザイン

何年も前に営業に伺った調理器具メーカーから、後年連絡がありました。既に外注デザイナーはいたのですが、「貴社に一度デザインをお願いしたい」という連絡がありました。この会社の主商品はフライパンや金網の魚焼き器などで、商品の外観ではなかなか差別化が難しい商品です。「弊社の商品イメージを変えるにはパッケージデザインが重要で、思い切ったことをしなければ、このままではジリ貧になってしまう。」と常に考えていたということです。そこで今までと違うデザイナーを使って挑戦してみようと思い、弊社に白羽の矢が立ったのです。まず手始めに「魚焼き器」のデザインから始めることになりました。




デザイン変更する前のパッケージデザイン




パッケージの問題点と改良点

デザインのご依頼をいただくと、まずおご要望をお聞きした上で現行パッケージの問題点を洗い出します。店頭での売り場環境などのデザイン以外の要素も加味しながら問題点をピックアップして、その改良点を白紙の状態から考え直します。「魚焼き器」の問題点と改良点は以下の通りです。 <パッケージの問題点>  ●一目見て商品が分かるのに商品名を大きく扱い過ぎている。  ●要素がゴチャゴチャしていて特徴が分かりにくい。  ●色が暗いので、店頭で目立たない。  ●写真が美味しそうに見えない。  ●アイコン(パッケージ下部のマーク)が分かりにくい。など <パッケージの改良点>  ●ブランド名を考え、ロゴもしくはビジュアルシンボルを新たに制作する。  ●商品名は小さくする。  ●言いたいことを絞ってレイアウトをシンプル(見やすく)にする。  ●写真は美味しそうに見えるよう撮り直す。  ●アイコンを整理する。 など



デザインコンセプトを構築し、制作に入る。

デザインは通常3〜5案を提案します。それは単なる色やレイアウトの違いではなく、デザインコンセプトの違いによるものです。つまり現行パッケージを少し改良したもの、もっと進んだもの、さらにもっと違う考え方のものというようにデザインを制作します。デザインコンセプトの違いを段階的に表現し、ご説明させていただきます。この商品はご要望にあったように、相当思い切ったデザインをしないと差別化できないと考えていましたので、「焼」という文字をロゴマークにしようと考えました。他社商品には文字をこんなに大きく扱ったものはありません。それと美味しさを追求した写真を撮影しました。この2つの要素にこだわり、他の特徴は極力小さくまとめレイアウトしました。クライアント様にはその意図をよくご理解いただき、下記のデザインに決定しました。             


リニューアルされたデザイン




ロゴマークを中心とした、ブランディングへの移行

「焼」という文字をビジュアルシンボルにしたデザインは、店頭での競合他社との差別化に成功し、発売当初から売れていきました。またレイアウトをシンプルにし、写真にこだわったことにより、高級感も生まれました。その後種類別の魚焼き器にも広く展開され、「焼き名人」シリーズ化された商品数は一時20数種類に及びました。発売されてから10年が経ちましたが、今も安定した人気商品となっています。 「焼き名人」シリーズの展開商品







まとめ

「自信の商品なのになぜか売れなくなってきた」「もっと積極的に売っていきたい」と考えるようになった時がデザインやブランディングを再考する時期なのかもしれません。市場調査などに行った際、せっかく良い商品なのにその良さがうまく消費者に伝わっていない商品が何と多い事かと思うことがあります。私はそれをデザインとして表現しきれていない「表現の未成熟」と呼んでいます。キレイだとかカッコイイだけでは決して売れません。商品の良さを的確にデザインしてこそ、消費者に伝わり、共感を得て売れていきます。そしてやがてブランドへと成長していくのです。



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