
勝部 一之
商品パッケージの印刷について
グラフィックデザインの場合は平面印刷なのでオフセット印刷がよく使われますが、パッケージは立体物であることやパッケージ素材によって印刷の方法が変わります。それぞれの素材に適した印刷方法を駆使して、美しいパッケージに仕上げていきます。おおよそ5種類の印刷方法があり、順を追って説明します。

◉オフセット印刷(平版)
油性インクと水とが互いに反発し合う性質を利用して印刷します。美しい印刷物を仕上げるのには一般的な印刷方法です。平面印刷はおおむねオフセット印刷です。美しいグラデーションや細かい印刷に向いています。
<適した素材>紙
菓子箱、牛乳などの飲料箱、化粧箱、紙ラベル、ティッシュ箱 ほか
◉グラビア印刷(凹版)
パッケージで一番よく使われる印刷で、金属板の凹みにインクを流し込み、押し付ける印刷方法です。インクの層が厚くなるため、濃いベタ印刷やカラー写真の再現性に優れています。あまり細かい印刷には向いていません。また版代が高いため、大量印刷になる場合が多いです。
<適した素材>フィルム、プラスチック
即席めん袋、洗剤、豆腐、レトルト食品、お菓子袋、パン袋 ほか
◉フレキソ印刷(凸版)
ゴム印のように版の凸部分にインクを乗せて転写する印刷方法です。版が樹脂でできているため、大量に印刷する場合には向きません。カラー写真の再現性には不向きでベタムラが出やすいので1〜2色でコストを抑えたい場合に向いています。
<適した素材>段ボール、レジ袋
段ボールなど
◉シルク印刷
シルクの布の網の間からインクをヘラで刷ることで印刷を行う方法です。インクを熱く盛ることができ、曲面にも印刷できます。但しあまり複雑な印刷はできません。
<適した素材>金属、ガラス、布、プラスチック
化粧品ボトル、飲料や食品・薬品のガラスびん、Tシャツ、海苔缶 ほか
◉ホットスタンプ
金や銀などの金属光沢を再現する時に使われる方法で、箔押しとも言われます。熱によって箔を圧着させる方式で、通常ワンポイント的に使われる場合が多いです。事前に素材と印刷方法や見本を印刷会社より説明を聞くことをお勧めします。
<適した素材>紙、金属、ガラス、プラスチック
化粧品の箱とボトル、飲料、食品・薬品の容器と箱 ほか
まとめ
パッケージ印刷は平面印刷とは違い、特殊な上にロット数によってコストに大きな差が出ます。さらに印刷後の加工作業(箱の組立や焼き付けなど)も加わりますので、やはり大量に印刷するのが圧倒的に安く上がります。また卓越した印刷技術も必要ですので、パッケージ印刷を専門にする印刷会社が多いのが現状です。最近ではインターネットなどで簡易な少量印刷を受けるサイトも見られますが、仕上がりの精度が良いかどうかは疑問です。