• 勝部 一之

アプリはあくまでも道具

デザインを制作する上で、代表的なアプリにIllustratorとPhotoshopがあります。今や世界中のデザイナーがこれらなくして仕事はできません。ハードディスクである Macintoshとともに日本に上陸して30年近くが経ちましたが、最初は難解で取っ付きにくく、慣れるまで四苦八苦したものです。それまで定規やコンパス、ポスターカラーなどの道具を使って手作業で仕上げていたデザインが、アプリを使うといとも簡単に一瞬でできてしまう。衝撃的で、時代が大きく変わっていくのを実感しました。


それまでのデザイナー仕事の時間配分は、大きく分けてアイデアを出す時間(思考時間)が約2〜3割、アイデアを実際のデザインに落とし込んでいく時間(作業時間)が約7〜8割でした。手作業のため、具現化していくデザインラフの制作作業にかなりの時間を割いていました。それがMacの登場で完全に時間配分が逆転してしまったんです。余った作業時間を、もっとアイデアを出す時間や市場調査などに割り振ることができ、仕事全体に余裕が出てきて、早く帰宅できるようになりました。制作現場にとって画期的なことでした。





前置きが長くなりました。デジタル時代になって確かに便利になりましたが、果たして肝心のデザインの質は向上したのでしょうか?率直に言って、あまり向上していないように感じています。アナログ時代を経験した世代には、アプリはあくまでも定規やコンパスに代わる、便利な道具という認識しかありません。デザインを考えるのはあくまでもデザイナー自身であり、アイデアベースはアプリの中にはありません。最近、アプリのフィルタを多用した安直なデザインが何と多い事か。結果的に画一的で個性がなく、アイデアのないデザインばかりになります。そこからは決して新しいものは生まれません。情報を集め、自分の頭で考え、アイデアを絞り出してクリエイティブなデザインを突き詰めていく。それを繰り返すことで自身のデザインスタイルが出来上がっていきます。


       アプリが使いこなせる ≠ デザインができる


ということなんです。しかし見方を変えれば、アプリを自在に使いこなせることは道具を使いこなせるということで、現在では技術力が高い証しです。でもそれで終わりではありません。考えたデザインをアプリによって、どう表現していくかがデザイナーの仕事です。やがて来るAI時代のデザイナーには常に斬新なアイデアが求められることになります。



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